避難と災害の情報

ハザードマップの見方。自宅の災害リスクを10分で確かめる手順と、色の読み方

ハザードマップは「見たことはある」で終わりがちです。国土交通省の「重ねるハザードマップ」で自宅を調べる手順、浸水の深さの色の読み方、家に残ってよいかを決める3つの条件をまとめました。

ハザードマップの見方。自宅の災害リスクを10分で確かめる手順と、色の読み方

ハザードマップは、市区町村が配っている紙の地図や、ウェブの地図で見られます。ただ、配られたまま引き出しにしまってある、という家も多いはずです。内閣府の世論調査(令和7年)でも、住んでいる地域の対策について「充実してほしい情報」の1位は、ハザードマップなどの危険な場所の地図(54.1%)でした。知りたいのに、使いこなせていない情報だといえます。

この記事では、ウェブ版のハザードマップで自宅を調べる手順と、色や記号の読み方、そして「家に残るか、避難するか」を決める考え方を順に説明します。10分ほどで終わります。

家族でテーブルに広げたハザードマップを見ている様子
紙のマップは家族で一緒に見ると、避難先の話まで進めやすい(写真はイメージです)

2つのハザードマップを使い分ける

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」には、2つの入り口があります。

名前

何が見られるか

向いている使い方

重ねるハザードマップ

洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク、道路の防災情報、土地の成り立ちを1枚の地図に重ねる

自宅や職場、通学路のリスクをまとめて確かめる

わがまちハザードマップ

市区町村が作ったハザードマップへのリンク集

避難所の場所や、地域ごとの注意点まで書かれた地元版を見る

まず「重ねるハザードマップ」で自宅の場所のリスクをつかみ、次に「わがまちハザードマップ」で市区町村の地図を開いて、避難所や連絡先を確かめる、という順番がわかりやすいです。

重ねるハザードマップで自宅を調べる手順

自宅のリスクを確かめる手順
  1. 1住所を入れる

    トップページの検索欄に自宅の住所を入れます。スマホなら現在地からも探せます。

  2. 2災害の種類を選ぶ

    「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」のボタンを順に押し、自宅に色が付くかを見ます。複数を重ねて表示できます。

  3. 3色の意味を読む

    画面の凡例(色の説明)と見比べて、浸水の深さや区域の種類を確かめます。

  4. 4土地の成り立ちも見る

    「土地の特徴・成り立ち」から地形分類を重ねると、昔の川の跡(旧河道)や埋立地かどうかがわかります。

  5. 5避難先までの道を確かめる

    避難所までの道が浸水する場所や、がけの下を通らないかを見ておきます。

職場や子どもの学校、実家など、家族がよくいる場所も同じように調べておくと、災害が起きた時間帯ごとの動き方を考えやすくなります。

浸水の深さの目安

洪水のマップでは、浸水の深さが色の濃さで示されます。数字だけではぴんとこないので、家のどこまで水が来るかに置きかえて見ます。

浸水の深さと、家のどこまで水が来るか
  • 0.5m1階の床上まで。大人でも歩いて避難するのが難しい0.5m
  • 3m2階の床まで3m
  • 5m2階が水没し、3階の床も浸水するおそれ5m

深さは地面からの高さ。色の区分は地域や地図によって6段階か8段階です。 出典:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所「洪水浸水想定区域図等の注意事項」

0.5mは「ひざから腰くらい」の深さです。流れのある水の中を歩くのはとても危険なので、0.5m以上の色が付いている場所では、水が来る前に動くことが大切になります。

「想定最大規模」と「計画規模」の違い

洪水のマップには2種類の想定があります。「想定最大規模」は、1年にその雨を超える確率がおよそ1000分の1という、その地域で考えられる最大の雨です。「計画規模」は、川の整備の目標にしている雨で、確率はおよそ10分の1〜200分の1です。備えを考えるときは、想定最大規模のほうで見ておくのが安心です。

あわせて見ておきたい3つの情報

家屋倒壊等氾濫想定区域

洪水のとき、家が流されたり倒れたりするおそれがある範囲です。川の水の勢いによる「氾濫流」と、川岸が削られる「河岸侵食」の2種類があります。この区域に入っている家は、2階に上がっても安全とはいえないので、早めに家を離れる必要があります。

浸水継続時間

水が引くまでにかかる時間の目安です。「12時間未満」から「2週間以上」まで区分があります。3日以上続く場所では、2階に逃げても水や食料、トイレが足りなくなるおそれがあります。

土砂災害警戒区域

区域

通称

意味

土砂災害警戒区域

イエローゾーン

土砂災害で命や体に危険が生じるおそれがある区域

土砂災害特別警戒区域

レッドゾーン

命や体に著しい危険が生じるおそれがあり、建物の構造などに規制がかかる区域

土砂災害は、建物ごと押しつぶされることがあります。区域に入っている家は、原則として家を離れて避難します。

家に残ってよいかを決める3つの条件

自宅に色が塗られていても、すぐに避難所へ行くとは限りません。内閣府の「避難行動判定フロー」では、洪水の場合、次の3つがすべてそろえば、家の安全な階にとどまる「屋内安全確保」も選べるとしています。

1つでも欠けるなら、浸水する前に安全な場所へ移る「立退き避難」です。避難先は避難所だけでなく、浸水しない場所にある親せきや知人の家も選べます。家に残る場合の備えは在宅避難の記事と備蓄のチェックリストにまとめています。

調べたら、家族で決めておくこと

  • 自宅のリスク:洪水・土砂災害・高潮・津波のどれに当てはまるか
  • 逃げる先:避難所、または親せきや知人の家。2か所以上
  • 逃げる道:浸水しやすい道や、がけの下を通らない道
  • 逃げるタイミング:警戒レベルのどの段階で動くか
  • 連絡のしかた:家族がばらばらのときの集合場所と連絡方法

紙のハザードマップに、避難所と道を書き込んで、冷蔵庫や玄関に貼っておくと、いざというときに迷いません。

よくある質問

ハザードマップはどこで見られる?
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で、住所を入れて見られます。市区町村の窓口やウェブサイトでも、紙のマップを配ったり公開したりしています。
浸水の深さ0.5mはどれくらい?
建物の1階の床上まで水が来る深さで、大人でも歩いて避難するのが難しくなります。3mで2階の床、5mで2階が水没する目安です。
ハザードマップで色が付いていなければ安全?
安全とは限りません。ハザードマップは決まった条件での予想で、想定を超える雨や、小さな川・水路のあふれは表されないことがあります。避難情報が出たら従ってください。
自宅が浸水する想定でも、家に残っていい?
家屋倒壊等氾濫想定区域の外にあり、寝起きする部屋が浸水の深さより高く、水が引くまでの備えがあれば、家に残る「屋内安全確保」も選べます。土砂災害の区域は原則として家を離れます。

参考にした資料