被災したら最初の手続き。罹災証明書の申請と、片付ける前に撮っておく写真
家が被害を受けたら、片付けの前にまず写真を撮ります。罹災証明書は、支援金や住宅の修理、税金の減免を受けるための入り口になる書類です。申請の流れ、被害の区分、写真の撮り方、地震保険との違いをまとめました。

地震や大雨で家が被害を受けると、まず片付けたくなります。泥をかき出し、割れたガラスを捨て、濡れた畳を運び出す。その気持ちは自然ですが、手を付ける前にひとつだけやっておきたいことがあります。被害の写真を撮ることです。
あとで支援金や保険金を受け取るとき、被害の大きさを確かめる材料になるからです。国も市区町村に対して、片付けの前に写真を撮るよう住民に知らせることを求めています。この記事では、写真の撮り方と、罹災証明書の申請の流れを順に説明します。
罹災証明書とは
罹災証明書は、災害で住まいがどれくらいの被害を受けたかを、市区町村が証明する書類です。災害対策基本法にもとづく書類で、申請があれば市区町村は調査をして交付します。
この証明書があると、次のような支援を受ける手続きに進めます。
- 被災者生活再建支援金
- 住宅の応急修理
- 応急仮設住宅への入居
- 災害義援金
- 税金や保険料の減免・猶予
- 災害にかかわる融資
支援の多くは被害の区分で内容が決まるので、罹災証明書はその入り口になる書類です。
申請から交付までの流れ
- 1被害の写真を撮る
片付けや修理の前に。家の外と中、被害のある場所をすべて。
- 2市区町村に申請する
窓口のほか、市区町村によってはマイナンバーカードを使ってマイナポータルからオンラインで申請できます。
- 3住家の被害認定調査
市区町村の職員が家を調べ、被害の割合を判定します。被害が小さい場合は、写真だけで判定する方式もあります。
- 4罹災証明書の交付
判定に納得できないときは、再調査(第2次調査)を申し込めます。
申請書の様式は、令和6年に全国で統一されました。申請の期限は市区町村や災害によって違うので、市区町村のお知らせで確かめてください。
被害の区分
被害の大きさは、住まいの損害の割合で6つに分けられます。
被害の区分 | 損害の割合 |
|---|---|
全壊 | 50%以上 |
大規模半壊 | 40%以上50%未満 |
中規模半壊 | 30%以上40%未満 |
半壊 | 20%以上30%未満 |
準半壊 | 10%以上20%未満 |
準半壊に至らない(一部損壊) | 10%未満 |
どの区分になるかで、受けられる支援が変わります。たとえば被災者生活再建支援金は、全壊・大規模半壊・中規模半壊などが対象です。住宅の応急修理は、準半壊以上が対象になります。
片付ける前の写真の撮り方
多くの市区町村のチラシに共通する撮り方をまとめると、次のようになります。
- 4方向家の外観。できれば東西南北の4方向から
- 全部屋被害のある部屋ごとに、部屋全体の写真
- 寄りと引き被害の箇所は、近くと遠くの両方から
浸水したときは、メジャーや棒を当てて、水が来た高さがわかるように撮ります。
- 外観:家全体が入るように、なるべく4方向から
- 浸水:壁に残った水の跡に、メジャーを当てて深さがわかるように
- 部屋:被害のある部屋ごとに、入口から部屋全体を
- 被害の箇所:壁のひび、床、窓、ドア、サッシ、ふすま・障子、台所、洗面台、便器、浴室などを近くから
- 家財:壊れた家具や家電も。捨てる前に
スマホで撮れば、撮った日時も記録されます。写真はクラウドや家族のスマホにも分けて保存しておくと、スマホをなくしたときにも困りません。
被災者生活再建支援金の目安
住まいが大きな被害を受けた世帯に、国の制度から支給されるお金です。被害の程度に応じた「基礎支援金」と、住まいをどう再建するかに応じた「加算支援金」の2つがあります。
被害の区分 | 基礎支援金 | 加算:建設・購入 | 加算:補修 | 加算:賃借 |
|---|---|---|---|---|
全壊など | 100万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
大規模半壊 | 50万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
中規模半壊 | なし | 100万円 | 50万円 | 25万円 |
金額は複数人の世帯の場合で、1人世帯はそれぞれ4分の3になります。災害が制度の対象になるかどうかは、災害ごとに決まります。最新の金額や条件は、都道府県や市区町村の案内で確かめてください。
地震保険の判定は、罹災証明書とは別
地震保険に入っている場合、保険金の額は保険会社の調査で決まります。罹災証明書の区分とは別の基準です。
- 全損100%
- 大半損60%
- 小半損30%
- 一部損5%
保険金額に対する割合。2017年以降に始まった契約の区分です。 出典:日本損害保険協会「地震保険 損害の認定基準について」
保険金の請求に罹災証明書は原則としていりません。保険会社に連絡し、被害の写真を渡します。日本損害保険協会は、安全のために片付けや修理が必要なときはしてよいとしたうえで、その前にできるだけ写真を撮るよう呼びかけています。契約している保険会社がわからないときは、「自然災害等損保契約照会センター」に問い合わせられます(災害救助法が適用された地域が対象)。
内閣府の世論調査(令和7年)では、火災保険に地震保険などを付けている人は65.7%、水害の補償を付けている人は41.1%でした。補償の内容は、災害が起きる前に一度確かめておくと安心です。自宅の水害のリスクはハザードマップの記事の手順で確かめられます。
被災地をねらう悪質な業者に注意
災害のあとは、修理や点検をよそおった勧誘が増えます。国民生活センターが注意を呼びかけている例です。
- 「火災保険を使えば自己負担なしで修理できる」と勧誘する
- 無料点検と言って屋根に上がり、不安をあおって契約させる
- 頼んでいないのにブルーシートを張り、高額な代金を請求する
- 公的機関を名乗って、電話で義援金を求める(公的機関が電話で義援金を求めることはありません)
その場で契約せず、見積もりは複数の業者から取ります。困ったときは消費者ホットライン「188」に相談できます。
よくある質問
- 罹災証明書はどこで申請する?
- 被害を受けた住まいがある市区町村に申請します。窓口のほか、市区町村によってはマイナンバーカードを使ってマイナポータルからオンラインで申請できます。
- 罹災証明書の申請に写真は必要?
- 写真がなくても申請はできます。ただ、片付けの前に撮った写真があると、調査や再調査のときに被害を説明しやすくなります。被害が小さい場合は、写真だけで判定する方式もあります。
- 被害の写真はどう撮ればいい?
- 家の外観をなるべく4方向から、被害のある部屋ごとに全体を、被害の箇所を近くと遠くから撮ります。浸水したときは、メジャーを当てて水の高さがわかるように撮ります。
- 地震保険の請求に罹災証明書はいる?
- 原則としていりません。地震保険の損害は保険会社が独自に調べて判定します。保険会社に連絡し、被害の写真を渡します。


